現在“ロック"というと、かなり広範囲のポピュラー音楽を指しますが、遠くさかのぼること半世紀以上前の1955年、ビル・ヘイリーと彼のコメッツというバンドが“ロック・アラウンド・ザ・クロック"という曲を、全米ヒット・パレードのNo.1に突如ランキングさせた時に“ロックン・ロール"という呼び方が誕生し、それまでのポップスとは全く違うタイプのリズムとサウンドで、たちまちの内に、当時の若者達の心をしっかりとわしづかみにしました。これが“ロック"のはじまりです。

1956年にエルビス・プレスリーが「ドント・ビー・クルーエル」「ハートブレイク・ホテル」で登場してきて、ロックン・ロールはしっかりと定着しました。そして1962年に「ラブ・ミー・ドゥ」でビートルズが登場してくるまで、ロックン・ロールは主流でした。 ビートルズの4人も、10代の頃はこうしたアメリカ生まれのロックン・ロールの洗礼を受け、デビューする前は、バディ・ホリーやR&Bをライブでやっていました。ビートルズだけではありません。ストーンズも、そして70年代に出てきた、ザ・バンド、イーグルス、クイーン、その他沢山のロック・バンドは、多かれ少なかれロックン・ロールに魅せられて、彼等のサウンドのベースとしてきたことは、一目瞭然でしょう。これが、“ロック"という分野を揺ぎないものにし、現在に続いているのです。時代を越えて、多くのその時代時代の若者達の心をしっかりととらえてきた“ロック"の基本が、ロックン・ロールにあることを、例え気付かなかったとしても、人は本質的なところで受けとめているからこそ、半世紀以上経った今も愛され熱狂的に受け入れられているのではないでしょうか。 今回ここに登場した“THE BAWDIES"は、まだ20代前半の若者達なのに、見事にロックン・ロールしているのをきいて、私はとてもうれしくなっています。

THE BAWDIES のライブに行ってみて、私は50年代、60年代と少しも変わらず、ロックン・ロールに夢中になっている沢山の若者達を見て、ロックン・ロールのスピリットは不動だと改めて思いました。当時は、ロックン・ロールは一過性の流行にすぎないといわれたものですが、いつの時代の若者達をもとらえる不思議な魔力があることを実感し目のあたりにして、これこそ、ポップスの基本なのだと、改めて思っているところです。

だからこそ、今、ロックン・ロールを演るのは、決してオールディーズやナツメロではないことをTHE BAWDIES は教えてくれているのです。

今回出た彼等のレコードは、2曲共、どこか懐かしいけど、とても新鮮にきこえます。

1950年代後半、まだレコード・デビューする前のビートルズも、リバプールのキャバーン・クラブや、ドイツ、ハンブルグのビート・クラブやスター・クラブで、当時のティーンエイジャー達の熱狂的な声援を受けていた頃の、ちょっと荒っぽいけど、確かにロックン・ロールしていた頃を、THE BAWDIES の演奏は思い起こさせます。

何よりきいていて、身体が自然にリズムをとり出し、手も足もリズムに合わせて動き出す―― これがロックン・ロールの醍醐味だとすれば、THE BAWDIES は、正にこれにドンピシャリの新しいグループといえるでしょう。

 ガンバレTHE BAWDIES! ロックン・ロールのスピリットを持ち続けて更なる躍進を期待しています。

●音楽評論家 / 星加ルミ子